産廃とは「産業廃棄物」の略で、事業活動に伴って生じた廃棄物のことです。
一見、土地購入に関係のないように思える産廃ですが、地中からコンクリート塊や杭などが見つかりトラブルとなるケースがあります。
土地に産廃が見つかった場合、売主の瑕疵を根拠に損害賠償請求ができる可能性があります。
瑕疵とは、取引の目的である土地・建物に何らかの欠陥があることをいい、契約者のニーズを満たせるかを基準に判断されます。
今回の記事では、購入した土地に産廃が見つかった場合の過去のケースの紹介、自分が被害にあった際の対応について解説していきます。
過去の事例
平成20年3月27日、ウエストロー・ジャパンの事例では、土地の購入後にコンクリートガラ等の産業廃棄物が見つかり、撤去費用が必要となり賠償請求を行いました。
判決は売主の瑕疵が認められ、撤去費用の全額を負担することになりました。
平成24年12月13日の東京地裁の事例では、土地の購入、引き渡しから1年半後に土壌汚染と埋設物があることがわかり、土地の一部が使用できなくなり、土壌汚染除去や地中物撤去の費用が発生しました。
裁判の結果、買主は売主に対して約1881万円の支払い(内訳不明)が命じられました。
他にも、過去に建っていた建物で自殺があった、産廃が土地の埋め立てに違法に使われたなどのケースがあります。
産廃による瑕疵の特徴
産廃による土地の瑕疵関して以下の3つの特徴があります。
①主な土地の瑕疵の原因は産廃
②産廃による瑕疵のトラブル解決まで時間がかかる
③高額の賠償金が生じるケースが多い
また、地中から産廃が見つかったからといって必ず損害賠償請求が認められるわけではありません。
事例を見てみると、「買主の説明義務」「土地の利用目的」「土地の販売価格」などを重視して、総合的に判断されています。
なので、事例はあくまで事例だと考え、個別具体的に対応する必要があると考えましょう。
実際に購入した土地から産廃が見つかったら
まず、産廃が見つかった場合は廃棄物処理法に沿って適切に処理をする必要があります。
この際、一度掘り起こした産廃をもう一度埋めてしまうと、新たな不法投棄となってしまいますので注意が必要です。
産廃の処理が完了したら、土地の所有者は処理にかかった費用を、前の土地の所有者に賠償請求できる可能性がありますので、土地の売買の際の契約書を確認の上、前の土地の所有者や弁護士に相談しましょう。
いかがでしたか。
購入した土地から産廃が見つかるケースは決して多くはありませんが、実際に遭遇してしまうと問題解決に多くの費用や労力がかかります。
本記事を対応の参考にしてください。